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コロナに負けない忍者の心得(川上仁一)

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Updated 2021/02/22

日本忍者協議会顧問の川上仁一先生より、忍者の日を迎えるにあたってのお言葉をいただきました。


コロナに負けない忍者の心得

 昨年来のコロナ禍により、世界中の方々の生活が脅かされ、不自由を強いられている状態が続いており、経済的、精神的に大きな負荷が掛かっている。その昔、過酷な任務を遂行すべく鍛錬を積んだ忍者の心得や具体的な術技により、コロナ禍の現状を少しでも軽減でき得ればと願い、若干の心構えと技法を提供させて頂く事とする。

「忍術の忍は堪忍の忍」とも意味付けされるように、忍者は如何なる環境に於いても全て耐え忍ぶ事が肝要とされている。でなければ、人知れず重要な敵情を得たり、撹乱等を起して無事に任務を達成し帰還する事ができないのである。従って忍術修行は、術技の修得と共に、何事にも屈しない忍耐心を養う事にあるとされる。

コロナ禍を敵と考えれば、先ずは「忍者の三病」とされる、「恐れ」「侮り」「考え過ぎ」に罹らないようにしなければならない。過度な恐れは自信を喪失し冷静な判断を失なってしまい、侮りは、反対に過信によって身の危険を招く。考えすぎは、適切な状況を判断できず疑心暗鬼となりがちで、全てに負のイメージを持ち、行動や思考が制約されてしまう可能性がある。
コロナの情報などは殆どがテレビや新聞、ネットにより得られているが、結果として煽られた情報も多いと思うので、多角的に様々な情報源より比較しながら内容を把握し、実態を推し測る事が大切である。孫子の兵法でも、「敵を知り、己を知れば、百戦して殆うからず」と述べられ、相手と自己を知る事の大切さを教示している。様々なコロナ情報を得ながら冷静に分析して徒に過度な反応をせず、正しい対応策を講じながら行動・活動していこう。

現実や、将来の不安も増大している方々が多数おられるが、負の思考に陥らないように留意し、心の安定を得れるとされる行を行うのが良いだろう。
 忍術修行には種々の呼吸法があり、心身一如を目指して行なうが、呼吸により心を鎮めて精神を安定させる効果があるとされている。神道に由来する「息長」と称する呼吸法である。

・先ずは静かな場所で、リラックスできる体勢で座る事から始める。呼吸は原則、鼻呼吸で行い、胸でなく腹で息をするとイメージする事に留意する。
・体中の濁った気を全て出しきる気持ちで、口を開けて息を吐き出す。
・鼻よりゆっくりと静かに息を吸い込み(初心は5秒位)、一杯になったら息を止めて入った清浄な気が身体を巡るとイメージする。(初心は5秒位)
・ゆっくりと鼻より残った息を出す。(初心は5秒位)慣れてきたら、息を吸い、止め、吐く時間は徐々に長くしていく。

この呼吸法を毎日繰り返して行なうが、最初は5分位から行い慣れてきたら長い時間行なう。出来れば毎日、時間を定めて短時間でも継続して行なえば、各人に相応の効果が出てくるだろう。

元気が無くなりそうな際には「金剛行」と云う、鉄壁の不動心を得れるとされる修行法が効果的だろう。

・先ずは人に迷惑を掛けない場所を選び、自然に立って静かにゆっくりと鼻呼吸を行なう。
・臍下丹田(へその下の腹部)を両手で軽く撫でる事を繰返す。
・両手を軽く拳に握り、その手で臍下丹田を軽く拍子を付けながら、息を鼻や口より吐き出すタイミングで打つ事を繰返す。(鼻からはフン、口よりはハッと云う音を発しながら行なう。)

慣れてきたら、少しずつ強く打つが、耐打撃性向上のためでなく、あくまで心身一如を目指すための修行であるので誤解のないように行なう。
打つ際に、エイ、ヤッ、トー、ハッと云う気合と共に行なっても良い。

余り厳密に考えずに、上述の心構えを持ちながら、時間を見付けて適宜に呼吸法等を行なえば、不屈の忍者精神でこのコロナ禍を乗り切れると信じている。

 

川上仁一